風便り 2019.12.12

昨日、息子の山(さん)くんが息を引きとりました。一度 夏にこのお手紙で書きました。
夏に脳腫瘍が見つかり、その進行により、体が動かしづらくなり、食べづらくなり、
最後には呼吸ができなくなりました。本当に脳以外の体はとっても元気でその司令
が出ない事で、こんな体は不自由なんだと。無意識の生命維持装置たちも全て
脳で動いてるんですね。5ヶ月ちょっとのあいだ、山あり谷ありでしたが一番大事にしたのは
山くんの充実。そして、必ずまた元通りに走りまわって、お腹いっぱいご飯とお肉
を食べて、いっぱい笑って、電車に乗って。それを信じて一つ一つ選択してきました。
病院では ”放射線” 、”抗ガン剤” 、”手術” の3つしか選択肢が無く
山くんの場合、手術はできなかったので、残り2つ。余命半年〜1年と言われ残る
2つを選んでも、もう半年、1年延命するだけだとわかり、僕らの目的には全く合わ
ないとわかったので、病院での治療はやめて、自宅での療養、そしてできる限り
多くの他の手段の中から、期待できるものを選んで、山くんに付き合ってもらいました。
それに伴って多くのお医者さんや、看護婦さん、病院をやめて代替療法で挑む
脳外科医さん、不思議な力をもつ人も色々たくさん出会ってきました。本当に
みんなそれぞれの立場で、それぞれできる限り、力の限り精一杯、山くんや
山くんの病気に向き合って、対応してきてくれました。神様 仏様にも
たくさんお願いしてきました。途中、回復に向かってとっても元気になったときも
あって、本当に治ってまた山くんと遊べるんじゃないかと思うときもあったし、もう死んで
いってしまうんだろうかと、一日一日の変化に必死についていきながら、見守って
支えれる支えて、本当に一つ一つ最高の100%での日々を過ごしてきました。
一番には紗也ちゃんがやっぱり誰よりも山くんに向き合い彼女自身にも一生懸命
向き合い本気で考え続けてきてくれたから、山くんもここまでがんばって
耐え続け、戦い続けてこれたと思います。
僕はそれをできるだけ支える形でした。ときに頼りなく、僕がとても
受動的で無責任なこともありました。それでも 紗也ちゃんは、強く強く
山くんの一日一日に向き合い100%注いでいました。パン屋の工事も
始まって忙しくなっても学び続け、少しでも山くんもためにできる選択と行動
をしていました。本当にその紗也さんのお母さんとしての強さに脱帽です。結局
男なんてそんなもんで、女の人たちはみんな強い。田んぼで働くしかできないのが
男なんですね。そんな僕でも一緒に悩んで一緒に決めて、僕ができる100%
注いできました。今では、僕も紗也ちゃんも悔いはなくやりきれた
と感じています。それをまわりで支えてくれた家族や友だち、松風のみんな、
そして、お医者と看護師と、山くんに向き合って力を貸してくれたみなさんに
本当に感謝しています。ありがとうございました。
昨日は、山くんの死を聞いてかけつけてくれた友だちや先生やらみんな
集まったのでお家の中はパンパンでお祭り状態。昨日 今日、明日と
3日間山くんに会いに来てくれる人たちをお迎えしてたくさん さんくんとの
思い出話しして、山くんとも、最後の3日間 楽しくおいしく過ごしたい
と思っています。昨日だけで、めちゃくちゃたくさんの人が来てくれて、山くんの
友だち、山くんに期待して将来を見てくれてた人たちが大人も子ども
これだけたくさんいたんだと見ると 改めて山くんの魅力を感じます。
この数ヶ月山くんの日々の変化に食らいついていたので、元気だったころの山くんを
忘れかけてましたが、たくさん思い出を話していると よみがえってきます。
この手紙を書き終えたら、土曜日までお酒飲み続けます。じゃないと軽トラ乗って
仕事しちゃうので。配達はひでちゃんに託しました。
最後に山くん。
僕と紗也ちゃんのとこに来てくれてありがとう。とっても楽しかったよ。これからもよろしくね!!

八風農園 寺園風
今日の写真/山くん

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