風便り 2020.11.23

先週はあったかく、野菜もまだまだのびのび成長して、秋じゃがもこの
気候のおかげで、発芽は悪かったものの、ちょっとは期待できそうです。霜も
全然降りる気配がなく、カボチャももっと置いておけば良かったなと少し
もったいない気分です。土曜日は、風も強く、晴れわたっていたので、レンコンを
掘りに行ったとき、遠く、御嶽山が少し頭を白くしているのをおがめました。
先週の火曜、水曜で、福島県の両親のもとへ行ってきました。月曜日の
夜、家族のLINEに「ちゃちゃ(母親)が亡くなりました」と ベあくん(父親)から
報せが入りました。去年、山くん(息子)を亡くしていたことと、その頃応援に
来てくれていた時から、だんだん体が弱ってきているのを感じたので、それほど
動揺はしませんでしたが、その夜はなかなか寝つけませんでした。
ちゃちゃは鹿児島から短大で名古屋へ出てきました。ベあくんは新潟生まれで
親の仕事で名古屋へ。2人はその短大?で出会って、旬ちゃん(姉)が生まれ、
32年前に僕が生まれました。彼らは、出会って42年だそうで この間ずっと
一緒にいました。「べあくんはでも浮気してちゃちゃから離れてた時があったの!」
と毎回家族で集まって飲んでると、一度は言ってたちゃちゃの口グセ。
そんなちゃちゃも、べあくん無しには生きていけません。原発事故以降、べあくんは
「福島に住んで、死ぬまで、その福島の事故を見届けるんだ」と言って、早期退職して福島へ
移住しました。僕はその当時、原発事故のその後を見届けるのも大事だけど、この先のよりよい
未来をいなべで作っていくんだから、こっち手伝ってよ!と思っていました。その方がより価値
のあることだと思ってました。でもべあくんは、着々と退職を進め、しばしば福島
へ通い、自分が決めた未来へどんどん歩いてました。それにちゃちゃは
一緒についていく選択をしました。べあくんと一緒にいないとちゃちゃはダメなんです。
ちゃちゃはべあくんとビールが飲めれば、それ以上は何もなく、
おいしいごはんをみんなに作って食べてもらう。それが本当に幸せだったんだと
思います。人は長生きしたら良いわけでもなく、それぞれが、この人生を生き切る。
どれだけ充実していたかが大事なんだと、山くんの時に強く実感しました。
僕はまだまだ貪欲に楽しい未来を描き続けそこに向かってますが、ちゃちゃは
そういう意味では、とことん最後までやりきりました。給食のおばちゃんだったちゃちゃ
は、昼間は何百食の子どもたちのごはんをつくり、朝と夜は僕らのごはんをつくり。
やたらお家へ人を招いては、ごはんとビールでもてなす。いなべに来たら僕らの
ごはんをつくり、パン屋のスタッフのお昼も用意して。ごはんとビールの一生だったのか
と思えるほど、振り返ればそればかり。あまり社交的ではないちゃちゃもごはんと
ビールで友だちを作っていったようで、福島へ行っても、「ちゃちゃランチ」と称して、
人を招いたり、お弁当を届けたり。今回福島へ行った時もそのちゃちゃランチに
ハマって、ごはんを食べてたみなさんにお会いしましたがみんな同じ印象を
ちゃちゃに抱いていたようです。
僕も大きく産んでもらい、そのごはんで大きく育ててもらい、たぶん世界で2番目に
たくさんちゃちゃのごはんを食べてきました。寺園風の人生の最大のポイントは
このべあくんとちゃちゃのもとに産まれたことだと、家を出てからのこの十何年は
思ってました。きっと家を出るまで本当に大事に育ててもらいました。出てからも、本当
カワイくてしょうがない息子だったと思います。遅い反抗期みたいにずっとプリプリ
プリプリ僕はおこってましたけど。そんだけ愛がちゃちゃから出てたんですね。
ちゃちゃ、長い間たくさんの愛をありがとうございました。最後の別れの時
も、恥ずかしくて、声に出せなかったけど。息子は息子何ですかね。
天国にもサッポロ黒ラベル売ってますように!!

八風農園 寺園風
今日の写真/ライ麦の芽

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